群馬が東京サンロッカーズとのプレシーズンゲームに快勝
9月13日、群馬クレインサンダーズは東京サンロッカーズをオープンハウスアリーナ太田に迎え、プレシーズンゲームを開催した。ロスター7人で臨んだ東京SRの申し出を受けて、8分×4クォーターの特別ルールで実施。終始リードを奪い続けた群馬が、69-54で勝利した。
群馬は藤井祐眞、中村拓人、淺野ケニー、スタンリー・ジョンソン、ケリー・ブラックシアー・ジュニアが先発。一方の東京SRは新レギュレーションを活かし、山際爽吾、ラウリー・アルキンズ、ドンテ・グランタム、ブライソン・ウィリアムズ、ジョシュ・ホーキンソンと外国籍選手と帰化選手を並べてスタートした。
初得点こそ東京SRに許した群馬だったが、藤井や淺野の3ポイントシュートで10-7とリードを奪い、東京SRにタイムアウトを取らせることに成功。さらに、ジョンソンやトレイ・ジョーンズの3ポイントシュート攻勢でリードを広げ、22-16で第1クォーターを終えた。
第2クォーターでは、ジョーンズの連続得点で群馬がさらにリードを広げるかに見えた。しかし、ターンオーバーから東京SRに得点を許すと、群馬がタイムアウトを要求。そこからディフェンス強度を高め、東京SRに得点を許さず35-22で前半を終えた。
後半のスタートでは、群馬も藤井と外国籍選手3人、エージェー・エドゥを組み合わせたオンザコートフリーラインナップのラインナップ。前半から続く3ポイントシュート攻勢に加え、確率の高いゴール下のシュートも次々と決めて、東京SRに反撃の隙を与えなかった。
最終クォーターは、日本人選手をメインとしたスモールラインナップで臨んだ群馬。機動力を活かしたディフェンスでディフレクションを連発するなど、さらに強度を高め、そのまま勝利を手にした。

ミリングHC「もっと上手くミスマッチを突いていく必要がある」
群馬は公開されたプレシーズンゲーム全4試合で勝利を収めた。順調な走り出しだが、カイル・ミリングヘッドコーチに慢心はない。「まだまだ取り組まなければならないことがたくさんあります。ここ2年間でやってきたものとは、少し違うスタイルでプレーしています。そのため、まだ多くの調整が必要です」
ロスターが万全でないこともありオンザコート4の時間も長かった東京SRに対し、群馬は日本人選手4人と外国籍選手1人のラインナップでも十分に対抗していた。特にディフェンスでは、相手がドリブルをついたらダブルチームにいき、他の選手はローテーションを繰り返す激しいディフェンスを見せていた。
ミリングヘッドコーチは「今シーズンは、あのようなプレーをしなければいけないと思っています。今日は効果的でないところもありましたし、ミスもありました。誰とマッチアップしても対応できるようにローテーションを続ける。それが私たちの強みであり、選手層の厚さだと考えています」と今シーズン目指すバスケを語る。
一方で、課題も見えたと話す。「もっと上手くミスマッチを突いていく必要があります。今シーズンは、今日や先日の茨城ロボッツのようにスイッチディフェンスを多用するチームがあります。外国籍選手を中心に使うチームとは、シーズン通じて対戦することになるので、より良くなるように取り組んでいかないといけません」
最後に開幕へ向けて兜の緒を締める。「プレシーズンゲームでの勝利に大きな意味はありません。気持ちを切り替えて、レギュラーシーズンの開幕に向けて準備していきます」

フリッピン「ボールを持っていなくても自分の力が発揮できる」
プレシーズンゲームを通して、新たなスタイルを見せているのが、コー・フリッピンだ。この試合では第2クォーターと第4クォーターで長く出場する変則的な起用方法となった。ガード陣では最長となるプレータイムを記録し、3得点9リバウンド5アシスト5スティールと、この数字からもチームを支える貢献ぶりがうかがえる。
試合後、フリッピンは次のように振り返る。「いい試合でした。8分×4クォーターだったので、少し違った部分もありましたが、チームとしてやりたかったことのいくつかは達成できたと思います」
持ち前のフィジカルを活かしたディフェンス力は、存分に発揮された。東京SRのメインハンドラーを担うアルキンズに対し、前線から激しいプレッシャーを掛け続けた。今シーズンはリーグ全体でハンドラーを務める外国籍選手が多く加入しているため、このようなマッチアップが例年以上に多くなりそうだ。フリッピンはこう意気込む。
「大きくてフィジカルの強い外国籍選手とマッチアップするほうが好きです。カリフォルニアで育ったこともあって、そういうスタイルにはある程度慣れています」
オフェンスでも進化を見せている。ハンドリングだけでなく、ダンカースポットやショートコーナーでボールを受け、中継役になることも多かった。さらにゴール近くにポジショニングすることで、オフェンスリバウンドにも飛び込みやすくなっている。
昨シーズンとは異なる役割について聞くと「スタンリーが来たので、彼がボールを持つポゼッションが多くなります。だから自分がボールを持っていない時に、どうやって効果的になるか別の方法を見つけなければいけません。そこはボールを持っていなくても自分の力が発揮できる部分の一つだと思っています」とフリッピンは意図を明かしてくれた。
さらに、もう一つ気になった場面があった。フリッピンがコーナーの3ポイントシュートを沈めて会場を沸かせた直後のオフェンスポゼッション。オフェンスリバウンドを回収すると、トップにいたジョンソンへパスをした。ジョンソンは、そのまま3ポイントシュートを放ち成功。パスした直後、ジョンソンのシュートがリングを通り抜けるよりも早く、フリッピンは満面の笑みを浮かべていた。嬉しいとも、苦笑いとも違う。どこか楽しそうな笑顔だった。
「次のプレーをコールしようと思ったんですけど、やめました。スタンリーが自信を持ってシュートを打てると感じているなら、それでいいと。彼は頭の切り替えがすごく速いので、それが面白いなと思って笑ってしまいました」
「なぜ笑っていたのか?」を聞きたいだけだった。しかし、返ってきた言葉からは、思いのほかチームメート同士の深い信頼関係がにじみ出ていた。フリッピンには「スタンリーなら決めてくれる」という確信があったのだろう。
ミリングヘッドコーチ就任後から『信頼』というキーワードは、多くの選手からも何度となく聞かれてきた。タレント力だけではない。群馬の強さを支えているのは、信頼だ。


