アルティーリ千葉との開幕2戦で連勝を飾った群馬クレインサンダーズ。今週は茨城ロボッツとの2連戦に臨む。東地区唯一の連勝でスタートを切った群馬だが、課題も残る開幕でもあった。連勝で得た手応えと課題を踏まえ、10月3日4日に開催される茨城戦の展望を記していく。
アルティーリ千葉相手に辛勝と快勝
先週の群馬は、A千葉との対戦で第1戦76-74、第2戦91-59で制し連勝を達成した。第1戦では第3クォーター終了時点で14点のリードを奪っていたものの、みるみる点差を縮められて一時は逆転を許す展開となった。
カイル・ミリングヘッドコーチは、第1戦を振り返り「10~15分は良くない時間帯がありました。ですから、第2戦はもっと安定してプレーしようと話していました」と語り、40分間通じた『安定』が重要だと強調した。
オフェンス面では、特に終盤のボールムーブに課題が残った。個人で局面を打開できるスタンリー・ジョンソンが加入したことで、ボールシェア率が大きく変わっている。ジョンソンの能力に疑う余地はないが、組織的なバスケットボールを展開する群馬にとっては、新たな戦力をチームにフィットさせていく必要がある。
ミリングヘッドコーチも「まだやるべきことはたくさんあります。特にスタンリーをチームに組み込んでいく必要があります。これまでとは違う形でプレーする必要もあります」と語っていた。
「第1戦は、スタンリーが少しボールを持ちすぎていたと思います。このチームには得点ができて、自分でチャンスも作れる素晴らしい選手がたくさんいます」とミリングヘッドコーチは続けた。実際に、ジョンソンがボールを保持する時間が長くなったことで、ボールムーブが停滞。第1戦の最終クォーターでは、オフェンスのリズムを失った。
第2戦は、その課題をしっかりとクリアして大勝を遂げた。ミリングヘッドコーチは第1戦からの修正を振り返る。「スタンリーはスクリーンをかけてもらうこともありますが、彼自身もスクリーンに行く必要もあります。今日はボールを持ってプレーするだけでなく、ボールを持たずに動くプレーも良かったです」
ディフェンス面でも、第2戦の前半はA千葉のカッティングへの対応に苦しむ場面があった。しかし、後半はしっかりと修正し、わずか19失点に抑えて持ち前のディフェンス力を発揮した。
シーズンは始まったばかりだ。だからこそ、試合で浮き彫りになった課題を一つずつ修正していくことが重要になる。開幕連勝という結果だけでなく、その過程で得た学びを次に生かしていきたい。

開幕連敗を喫した茨城ロボッツ
オフシーズンに大型補強を敢行し、一躍注目の的となった茨城。しかし、ホームで迎えた三遠ネオフェニックスとの2試合では、まさかの連敗を喫した。
第1戦は第2クォーターからビハインドが広がり、最終クォーターに追い上げを見せたものの、最後まで追いつけずに敗戦。第2戦も前半にリードを許しながらも、何度も点差を縮めたが逆転には至らなかった。
特に目立ったのが、ターンオーバーの多さだ。第1戦が18個、第2戦が21個を記録。ターンオーバーからの失点も、第1戦が26点、第2戦は18点にのぼった。当然、茨城は課題として取り組むはずだが、群馬として積極的に突きたいポイントでもある。プレッシャーをかけてミスを誘発し、そこから得点につなげられれば、試合の主導権を握ることができる。
大型補強の影響もあり、チームとしての連携はまだ発展途上という印象を受けた。新加入選手の出場時間の割合がチーム全体の82%以上を占め、さらに新ヘッドコーチが指揮をとる状況では、シーズン序盤から完成度を高めることは容易ではない。実際、ターンオーバーの多さに加えて、ディフェンスでも細かな連携ミスが散見された。
とはいえ、茨城に能力の高い選手が揃っていることは間違いない。加えて、ポール・ヘナレヘッドコーチは日本で十分な実績を誇る。開幕2連敗を糧に、早い段階でチームを立て直してくるだろう。先週の結果だけで茨城を判断することはできない。修正を重ねてくる相手に対して、群馬がどのように対応して上回れるか注目だ。

茨城ロボッツ戦3つの注目ポイント
リバウンド
先週のA千葉戦でも注目ポイントとして挙げたが、群馬にとってリバウンドはシーズンを通じて特に意識し続ける課題になりそうだ。ケリー・ブラックシアー・ジュニアも第2戦後に、チームとして改善すべき点にリバウンドを挙げていた。「全員がもっとリバウンドを取らなければいけない。リバウンドは私たちにとって重要なポイントになるので、そこにフォーカスしていきたい」
A千葉との2試合では、オフェンスリバウンド獲得率、セカンドチャンスポイント数のいずれも相手を下回った。ブラックシアー・ジュニアが語ったように、特定の選手だけに頼るのではなく、チーム全員でとりに行く意識が求められる。
3ポイントシュート
茨城の3ポイントシュートをいかに抑えるかがポイントだ。茨城は三遠との第1戦で、2ポイントシュート21本の試投に対して、3ポイントシュートを42本も放った。2試合通じても、3ポイントシュートの試投割合は58.7%と高かった。
コート上の全員が3ポイントシュートを狙える上に、得点源も分散している。ヴィック・ローの平均24.0得点を筆頭に、レイ・パークスジュニア10.5得点、フィン・ディレイニーとティム・ソアレスがそれぞれ9.5得点、吉井裕鷹8.5得点、前田怜緒7.0得点を記録した。
ローは絶対的なエースになるだろうが、特定の選手に得点を集中させずに複数の選手が脅威になり得る茨城に対しては、組織的なディフェンスが不可欠となる。特にドライブからのキックアウトは警戒しなければならない。ボールマンプレッシャーだけでなく、周囲の選手も連動して守り、簡単にワイドオープンを作らせないことが重要だ。
気持ち
このような試合展望記事で、「気持ちが大事」と書くのは少し気が引ける。しかし、多くの選手やヘッドコーチは「結局は気持ち!」と口にすることが多々ある。戦力や戦術だけですべてが決まるのであれば、2連戦はどちらかのチームが連勝するだろう。しかし、開幕連戦は13カード中8カードが1勝1敗で終わった。
開幕で連敗した茨城は、今週末に勝利をつかむため強い気持ちで臨んでくるはずだ。群馬としては受け身にならずに、A千葉との第2戦のように試合開始から積極的に仕掛けていきたい。そして40分間通じて、群馬らしいバスケを展開すること。特に茨城には、ローのような試合を決めるビッグショットを沈められる選手がいる。最後までもつれる展開を避けるために、序盤から主導権を握り続けていきたい。

THE RUN CONTINUES.
開幕連勝を飾った群馬だが、レギュラーシーズンはまだ始まったばかり。58試合も残している。ホームで4試合続けて戦える日程を生かして、勢いをさらに加速させたいところだ。
茨城とはプレシーズンゲームでも対戦し、80-74で勝利している。ただし、ミリングヘッドコーチはプレシーズンゲームを全勝したことについて「大きな意味はない」と語っていた。一定の手応えを得ていても、レギュラーシーズンは別物。指揮官に慢心はない。
鶴巻啓太にとっては、古巣との対決でもある。プレシーズンゲームの茨城戦では先発出場し、17分25秒コートに立った。試合後には「レギュラーシーズンの対戦に向けて、しっかり準備して勝って恩返しをしたい」と意気込みを語っていた。その後、鶴巻は欠場が続いていたが、A千葉との第2戦で復帰。コートに立ってからすぐに3ポイントシュートを沈めて勝利に貢献した。
準備は整った。
開幕戦で劇的な勝利をつかみ、第2戦では課題を修正して快勝した群馬。結果だけでなく、試合を重ねるごとにチームとしての形を築き、その輪郭も少しずつ見え始めている。今週末に求められるのは、連勝を伸ばすことだけではない。目の前の課題に向き合い、自分たちのバスケットボールを貫くことだ。その積み重ねが、さらなる高みへとつながっていく。


