9月24日にオープンハウスアリーナ太田で、Bリーグ2026-27シーズンの開幕を迎える群馬クレインサンダーズ。KAZA GUNMAでは、開幕に向けて12選手の紹介記事を、これまで取材して印象的だったエピソードも交えて、順次公開していく。3人目は、#4トレイ・ジョーンズ。
NBAを目指したキャリア、たどり着いた群馬
トレイ・ジョーンズは、NCAAでの実績もあったが、2013年のNBAドラフトでは指名を受けなかった。シーズン前には、出身地のクラブであるミルウォーキー・バックスとトレーニングキャンプ契約を結んだものの、1ヶ月後に解雇。Gリーグ(NBA下部リーグ/当時の名称はDリーグ)でプロキャリアをスタートさせ、ヨーロッパのクラブでもプレーを続けながら、NBAを目指した。
再びチャンスが訪れたのは、2017-18シーズン。シーズン前にインディアナ・ペイサーズとトレーニングキャンプ契約を結んだ。しかし、本契約は勝ち取ることができず、ペイサーズ傘下のGリーグチームでプレーすることに。そのシーズン終盤に短期契約を勝ち取ったが、NBAでの出場は1試合、わずか1分にとどまった。
翌2018-19シーズンに千葉ジェッツに加入。しかし、開幕から3試合目で肩関節を脱臼してしまった。さらに当時のBリーグは、外国籍選手が常時オンザコート2となった一方で、ベンチ入りできる外国籍選手が2人までだったため、出場は12試合にとどまり、活躍の機会が限られた。
1年で日本を離れ、再びキャリアの舞台をヨーロッパに戻し、ドイツでプレーしていたジョーンズ。しかし、再び日本からのオファーが舞い込む。当時、B2だった群馬クレインサンダーズの大改革の象徴として、翌年にBリーグへ復帰。千葉J時代のチームメートであるマイケル・パーカーとともに、チームをB2優勝とB1昇格に導き、個人としてはB2MVPに輝いた。以来、群馬でプレーを続けて今年でチーム最長在籍となる7シーズン目を迎える。
群馬に来るまでの7シーズンは、世界中のクラブを転々としていたジョーンズ。今は、それと同じだけの時間を群馬で過ごそうとしている。以前にインタビューした際、加入した時から現在を回想してもらったが、「当時からは想像もしていなかったほどクラブは成長しているし、多くのものを私に与えてくれた。B2時代を知っているから、今がある。それはいいことだね」と語っていた。
2025-26シーズン スタッツ
| 出場 | 先発 | 時間 | PTS | RB | AS | ST | BS | TO |
| 37 | 29 | 24:58 | 13.6 | 4.0 | 3.9 | 1.0 | 0.3 | 1.8 |

年々変わる役割と増す責任
昨シーズンは、12月に右足を負傷してインジュアリーリスト入り。1月に復帰したものの、今後は左足の肉離れで再びインジュアリーリストに登録された。結果的に37試合の出場にとどまったものの、コート上では変わらずエースとしての存在感を放っていた。
昨シーズンのチャンピオンシップでの奮闘は記憶に新しいだろう。千葉ジェッツとのクォーターファイナルは3戦までもつれた結果、惜しくも敗退となったものの、欠場したエージェー・エドゥとヨハネス・ティーマンに代わってインサイドのディフェンスもこなし、シリーズ通じて3ポイントシュート成功率45.5%を記録。高い集中力で試合に臨み、「勝利のためなら、なんでもやるメンタルだった」と試合後にそう話した通り、鬼気迫るプレーを見せていた。
群馬に所属している間に、ジョーンズに求められる役割は変化してきた。「最初に来た時は得点することを重視していた」と以前語っていた通り、特にB2時代はスコアリング能力を発揮することにフォーカスしていた。年々、得点力が高い選手が加入する中で、プレーメークやアシスト、リーダーシップなど、その役割は多岐にわたっている。それでも「自分はどんな役割でもできる」と自負するように、オールラウンドなプレーを高いレベルでこなしてみせている。
今シーズンは、ジョーンズと同じウィングポジションにスタンリー・ジョンソンが加入した。日本のキャリアでは、ウィングタイプの外国籍選手と一緒にプレーしたことがないだけに、ジョーンズの新境地が見られることにも期待したい。
誰よりも大人で誰よりも誠実な男
『寡黙なエース』。多くのファンがジョーンズに抱いているイメージは間違っていないだろう。実際、同年代の辻直人や、同じ歳の谷口大智も口をそろえて「トレイが一番落ち着いている」と話す。記者会見でも冷静かつ的確に受け応え、いつもチームを第一に考えた発言をする。一方で、コート上では積極的にコミュニケーションを取り、チームをまとめる役割を担っている。
個人的な話になるが、私は英語が話せない。外国籍選手にインタビューする際には、通訳の方を介して話を聞くことになる。必然的にインタビューの時間は長くなり、通訳してもらっている間は、ジョーンズにとって何もすることがない時間となる。
退屈な時間を作ってしまい申し訳ないなと、胸を痛めることが多い。しかし、ジョーンズはいつも真摯に受け答えをしてくれる。むしろ記者会見よりも饒舌である。そして、最後に必ず握手を求めてくれて、ボソッと「Thanks」と言う。この上ないGood guyである。


