Bリーグは、育成に力を入れている。現在、学生にとってプレーする環境は部活動、クラブチーム、ユースチームと多岐にわたる中、今後ますますBリーグクラブ傘下のユースチームに大きな期待が寄せられている。KAZA GUNMAでは、群馬クレインサンダーズのユースチームを定期的に取材し、その活動やチームの成長を追っていく。初回は、育成部門の責任者を務める田村和男さんと、今年トップカテゴリーからユーススタッフに転身した池田親平コーチに話を聞いた。*9月3日取材
田村「ユースにとってトップカテゴリーに選手を上げるのが一番の成功」
──まず初回ということもあり、基本的なところになりますが、育成部門の組織を教えてください。
田村 U18、U15、U15 West、U12、スクールがあります。U15が2つあるのが、他とは違うところですね。それぞれに2~3人のコーチがいて、トレーナーもいます。
──ユースチームに入るためのトライアウトを設けているのでしょうか?
田村 U12以外は、トライアウトを設けています。U12は、ミニバス登録をして試合数の確保するため、基本的には受け入れて、人数を増やしています。トライアウトはないですが、面談はあります。規程をお伝えした上で、技術的な相談もしています。
──スクールは、ユースチームに入る前段階という位置付けでしょうか?
田村 どちらかというと、バスケットボールの普及ですね。まずは、バスケットボールの楽しさを知ってもらう。その中で、さらに上手くなりたい子のために、スキルアップクラスを設けています。それでもまだ物足りないとなったら、「じゃあ、ユースはどう?」という流れにつながるようになっています。
──現状、各カテゴリーがリーグ内でどのような立ち位置にいるか教えてください。
田村 U15は、群馬県のチャレンジリーグで2位、県選手権で8位です。いつも上位から8位の間を行ったり来たりしている感じです。U18は、チャンピオンシップでベスト16。ELITE LEAGUEUには出場できませんでした。U15 WestとU12は、まだ活動し始めたばかりなので、戦績はありません。
──成績の目標は、どのように設定されていますか?
田村 U15は、県内で1位になって、Jr.ウインターカップに出場しようというのが目標ですね。U18は、チャンピオンシップでベスト8に入り、昨年の成績を上回ろうと話しているところです。
──成績以外での目標はありますか?
田村 クラブのユースをやっている以上、トップカテゴリーに選手を上げるのが一番の成功だと思うので、将来的にはそこを目指してやっていきたいです。綺麗事のように聞こえるかもしれませんが、群馬で生まれた子が、群馬のトップチームにいるのが、一番の理想ではあります。それがスクールから始めたとなったら、いいロールモデルになるので、目指していきたいですね。

写真提供=群馬クレインサンダーズ
池田「まずはしっかり文化を作っていく必要がある」
──今シーズンから、ユースチームのスタッフとして加入しましたが、現在はどのような役割を担っているのでしょうか?
池田 U18、U15が2チーム、U12、スクールとあるので、全部を巡回しています。選手をコーチングするだけでなく、それぞれの担当コーチへのフィードバックやサポートもやっています。
──群馬クレインサンダーズのトップチームで3シーズンに渡り、アシスタントコーチとスキルコーチを務めました。トップカテゴリーからユースへ異動するきっかけは何でしたか?
池田 トップカテゴリーのコーチをやる前、ユースの指導からコーチキャリアをスタートしました。もともと育成に興味があって、いずれは戻りたいなと思っていたところ、タイミングも重なって、ユースに異動させていただいた形になります。
──ユーススタッフに転向して、感じることはありますか?
池田 全部のカテゴリーを回らせてもらっていますが、全体的にレベルが上がっていると感じます。部活動が自治体によっては廃止になってきていて、クラブチームに移行しています。特にU15はチーム数が増えていますし、本当に指導者のレベルも高いです。直近では、U15で県内の強豪校の練習に参加させていただきましたが、僕と同年代の若い人がコーチをするようになっています。どこのカテゴリーのコーチも非常に熱心にコーチングされているので、僕らBリーグのユースチームのコーチは、どう差異を作っていくかが課題だと感じています。
──池田コーチは、プロ選手をコーチしてきた経験があるので、また違った視点で指導できると思いますが、それが活きると感じることはありますか?
池田 ユースのコーチとしては、まだ3ヶ月くらいなので、簡単ではないなと思うことも多いです。その中でも、ユース選手から質問をされたら、僕が「こうした方がいいよ」というより、「同じポジションのプロ選手は、こういう風にやっていたよ」と具体的なエピソードを話してあげると、スーっとその選手に入っていくイメージはあります。そういった自分の引き出しをいろいろ使えるのは、いいことかなと思います。
──育成年代というと、競技面と同時に教育的な側面も重要かなと感じます。
池田 まさしくその通りです。 例えば、U18だったら大学や社会に出ることが見えてくる年齢なので、周りから「応援したいな」と思ってもらえるような人間に育つことが重要だと思います。全員がプロ選手になるというのは現実的ではないので、ユースチームやスクールに通うことで、いろんな可能性を見つけられるようにしたいですね。そこはトップカテゴリーと一番ちがうところかなと。
──ユースチームは、3年で選手が入れ替わるサイクルになるので、チームを作っていくという点では、難しさもあるのかなと思います。
池田 そうですね。ただ、それはトップチームでも選手の入れ替わりがあるので、同じかなと思います。まだ群馬のユースチームは、活動が始まってからの歴史が浅いので、まずはしっかりとした文化を作っていく必要があると思っています。群馬のユースチームに入ったら、こういうところが良くなるとか、チームとしてこういうことを頑張っていくとか。そういう文化がしっかりできてくれば、サイクルが起きたとしても、残せるものが多くなると思います。あとは卒業した子がコーチやスタッフとして戻ってくることがある、と他のユースチームのコーチから聞きました。「また戻ってきたい」と思えるようなチームやカルチャーを作っていきたいですね。
──リーグ全体を見ると、ユース出身選手がトップチームと契約する例も見られるようになってきました。ユース選手にとって、目指すべきステージが見えているのは、モチベーションにつながっていますか?
池田 現状、うちのユース選手をトップチームの練習に参加させられる体制は、まだ出来ていません。まずは、それが出来るチームを作っていかないとですね。ただ、ユース選手はトップチームの選手と同じ会場でやっているとか、すれ違ったりとか、身近にプロ選手がいる環境が良い刺激になっているので、今後も活かしていきたいですね。
──最後に、池田コーチが重要視する指導の軸があれば教えてください。
池田 選手がベストを尽くせる環境を作ることが大事だと思います。プロを目指す子もいれば、そうではない子もいます。どんな子でも、このスクールやユースチームに入ることで、さまざまな可能性を広げられるようにしたいですね。プロは結果が全てなので、1年でいなくなってしまうこともありますが、ユースはある程度時間をかけて、将来のことを一緒に考えないといけないです。それはやりがいになりますね。


