9月24日にオープンハウスアリーナ太田で、Bリーグ2026-27シーズンの開幕を迎える群馬クレインサンダーズ。KAZA GUNMAでは、開幕に向けて12選手の紹介記事を、これまで取材して印象的だったエピソードも交えて、順次公開していく。8人目は、#15 エージェー・エドゥ。
さまざまな国を経て、群馬で迎える2シーズン目
エージェー・エドゥは、ナイジェリア人の父とフィリピン人の母の間に生まれ、キプロスで幼少期を過ごした。高校はイギリス、大学はアメリカ、プロキャリアは日本と、さまざまな国の文化に触れてきた。そして、現役フィリピン代表としてもプレーしている。
フィリピンのバスケットボール協会は、代表チームの育成に向けて、背の高い若い選手を募っていた。当時14歳で200cmを超えていたエドゥは、母親の尽力もあり、フィリピン代表入りに向けて動き出した。それが現在の代表での活躍につながっている。
NBA入りを目指して大学からアメリカに渡ったエドゥは、フィリピン国内では同年代のカイ・ソットと並び、将来を嘱望されたビッグマンだった。しかし、2度にわたる足の大怪我により、100%の力を発揮することができないまま大学キャリアを終えることとなった。
エドゥがプロキャリアのスタートとして選んだのは、Bリーグだった。加入した富山グラウジーズでは平均13.1得点、8.9リバウンドと存在感を示したが、11月に再び半月板を損傷。以降の試合を全休することとなり、14試合の出場にとどまった。
翌2024-25シーズン、長崎ヴェルカへ移籍。ケガへの不安を払拭し、59試合に出場すると高いリムプロテクト能力と機動力を発揮。インサイドディフェンダーとしての地位を確立した。
その高い能力が見込まれて群馬へ加入。ディフェンスを武器とするチームにおいて、ゴール下の番人としての役割を果たし、チームの躍進に大きく貢献した。今シーズンは、自身にとってプロキャリア初となる同一クラブでの2シーズン目を戦う。
2025-26シーズン スタッツ
| 出場 | 先発 | 時間 | PTS | RB | AS | ST | BS | TO |
| 57 | 48 | 22:46 | 6.9 | 6.5 | 1.8 | 0.8 | 1.0 | 1.1 |

進化するプレースタイル
インサイドディフェンスやリムプロテクト、スクリーン、リバウンド。昨シーズンのエドゥの活躍を見れば、チームに対する献身性に疑う余地はない。数字として表れるブロックでは、シーズン中盤までリーグトップを走っていたものの、最終的には5位でシーズンを終えた。だが、数字に表れる部分だけでなく、エドゥがチームにもたらす安定感は大きい。
「ディフェンスはキャリアを通じてやってきたこと」と自身も自負しているだけに、今シーズンも変わらぬ活躍が期待される。ここでは、あまり語られることのないエドゥのオフェンス面での変化に触れたい。
オフェンスにおいての役割も、ディフェンス同様に献身的だ。「群馬に来て学んだ」と話していたが、スクリーンからのスリップやダイブをしてインサイドでボールを受け、アウトサイドで待つ選手へパスを出す場面が増えた。いわゆる『中継役』としての技術が、格段に向上している。
「ここには得点力が高い選手が揃っている。そして、全員でチームにとって一番良いシュートを探そうとしている。だから自分がボールをさばく機会も増えた」とエドゥは、これもチームプレーの賜物だと語る。
その証拠に、前シーズンの長崎時代から出場時間は大きく変わっていないにもかかわらず、平均アシスト数が1.0から1.8へと倍近く増えた。
今シーズンは、ヨハネス・ティーマンに代わってスタンリー・ジョンソンが加入。純粋なインサイド選手が減ったことで、エドゥへの負担は大きくなるかもしれない。しかし、それだけに攻守にわたってさらに進化したプレーを見せてくれることに期待したい。
今シーズンこそ自ら頂点を掴む
エドゥは朗らかだ。喋り方も穏やかで、物腰が柔らかい。そして、簡単な日本語なら理解して、即座にリアクションを返してくれる。新婚生活について聞いた時も「So far, so good!(今のところは順調)」と冗談っぽく答えて笑っていた。その言葉以上に、幸せなのだろうと感じさせる笑顔だった。
そんなエドゥも、昨シーズン古巣の長崎に連敗を喫した試合後には悔しさをにじませていた。「長崎には愛着があるからこそ、勝ちたかった。チャンピオンシップで対戦する可能性があるので、その時には勝てるようにしたい」
その言葉の通り、チャンピオンシップではセミファイナルで対戦するチャンスがあった。しかし、千葉ジェッツとのクォーターファイナル第1戦で、エドゥはケガをして第2戦、第3戦と出場できず、チームも敗退した。「チームが万全な状態であれば、対戦があったので、もっと面白いシーズンになったはず」と振り返っていた。
「長崎は優勝に値するチームだったので、嬉しい気持ちがある」と言う一方で、「悔しさもある」と語っていた通り、前年まで所属していたチームが優勝するという現実は、簡単に割り切れるものではない。しかし、その悔しさこそが、次に進むための原動力になる。今度はエドゥが、自らの手で頂点をつかむ番だ。


