9月24日にオープンハウスアリーナ太田で、Bリーグ2026-27シーズンの開幕を迎える群馬クレインサンダーズ。KAZA GUNMAでは、開幕に向けて12選手の紹介記事を、これまで取材して印象的だったエピソードも交えて、順次公開していく。11人目は、#29 細川一輝。
群馬で始まったプロへの道、常に中心選手として活躍
細川一輝は、上武大の4年次に群馬クレインサンダーズへ特別指定選手として加入。しかし、新型コロナウィルスの影響でシーズンは途中で終了。わずか4試合の出場にとどまった。
プロキャリアは京都ハンナリーズでスタート。ルーキーシーズンから57試合中43試合で先発を務めて、平均出場時間は19分48秒。3ポイントシュートも平均2.5本を放ち、成功率41.4%を記録するなど、チームの中核を担う活躍を見せた。翌シーズンには平均8.2得点まで伸ばし、得点源の日本人選手として存在感を示した。
2022-23シーズンには三遠ネオフェニックスへ移籍。三遠でも変わらぬシュート力の高さを発揮して、平均10.9得点と大活躍。ハイペースなバスケットを展開する三遠において、細川のトランジションからの3ポイントシュートは大きな武器となった。オフには、日本代表合宿やアジア競技大会のメンバーにも選出。翌シーズンには、チームの地区優勝や自身初のチャンピオンシップ出場に、中心選手として貢献した。
そして2024-25シーズン、大学生の時以来となる群馬クレインサンダーズへ加入。加入初年度からクラブ初のチャンピオンシップ進出に貢献するなど、これまで培ってきた力を存分に発揮している。2025年のアジアカップ予選では、日本代表(A代表)デビューを果たした。
2025-26シーズン スタッツ
| 出場 | 先発 | 時間 | PTS | RB | AS | ST | BS | TO |
| 60 | 39 | 23:17 | 7.3 | 1.9 | 1.1 | 0.5 | 0.1 | 0.5 |

苦しんだ序盤、きっかけとなった一戦
昨シーズンの3ポイントシュートの成功率は38.9%。細川のキャリアを振り返っても十分に高い数字であり、平均5.2本を試投しての成功率としても立派な数字だ。ただ、細川は「シーズン序盤は、確率を落としてしまった」と語る。開幕からの10試合では、69本中20本の成功で29.0%。細川自身のシュート力を考えれば、満足できない数字だった。
苦しんでいたのは個人だけではない。チームも最初の10試合を5勝5敗で終えた。10試合中8試合がアウェー戦だったことを差し引いても、優勝を狙うチームとしては苦しい期間となった。「落としてはいけない試合を落としてしまいましたし、勝っても悪い流れを断ち切れずに、次の試合につなげられなかったです」と細川はシーズン後に振り返っていた。
チームにとっても細川にとっても、一つのきっかけになった試合は、11月2日の横浜ビー・コルセアーズ戦だっただろう。終始、横浜BCにリードを許す展開。しかし、第4クォーター終了間際、細川がプットバックでゴール下のシュートをねじ込み、延長線の末に群馬が勝利を収めた。シーズン後、細川に印象深い試合を聞いた際にも、この一戦を挙げた。この試合後、チームメートの谷口大智にインタビューした際には「一輝が苦しんでいたのを見ていたから、『おかえり!』って思いましたね」とコメントしていた。
そこから細川は復調した。チームも11月に入り連勝。「シュートフェイクを使うとか変えていけたので、入らなかった期間は良い学びになりました」と振り返る。その言葉の通り、その後の50試合では245本中102本を沈めて41.6%の高確率を叩き出した。
闘志を胸に、コートで存在意義を証明する
派手なセレブレーションをするわけではない。試合後のインタビューで饒舌に話すこともない。以前、「気持ちの波を作ってはいけない」と話していたように、どちらかというと落ち着いた印象の選手だ。しかし、これまでインタビューした中で、細川の芯の強さが伝わる言葉は何度も聞かれた。
「チームメートだけど、辻さんはライバル」と加入直後に言ったこともあった。「相手を倒す気持ちで臨みたい」、「自分は長くコートに立ちたいタイプ」など物腰柔らかく話す口からは、負けず嫌いな一面が何度も垣間見えた。しかし、決してセルフィッシュではない。すべてはチームの勝利のためだ。年々、責任感も増してきたと話していた。「スタートで出る機会も多いので、オフェンスでもディフェンスでも自分がやるべきことをやって、チームに勢いを与えないといけないです。その気持ちはどんどん大きくなっていますね」
群馬に戻ってきてからは、シュートだけでなくディフェンスやドライブでもチームを救う場面も目立つようになった。派手なパフォーマンスは必要ない。多くを語る必要もない。コート上で結果を出すことこそが、多くの人の目を惹きつける。その輝きは、さらに増していく。


